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カンボジア
ついに、念願のアンコール遺跡に行った。
本当に来て良かった、と心から思った。 誰も居ない遺跡に一人佇むとそこは、もはや別世界だった。自分が現在何をしているのかさえ忘れるほどに、俗世とかけ離れたそこは、昔も今も神々が宿る聖なる空間だった。
カンボジアでの体験は、世界遺産アンコール遺跡に感動したことだけではなかった。 のどかな田舎道をバイクで走り、カンボジアの人達の生活風景を見た。 素晴らしい、気合を与えてくれた出会いもあった。地雷博物館創設運営者・AKIRA氏、カメラマン一ノ瀬泰造氏。 そして、地雷の被害に遭った子供たち。
私が見た・触れたのはごく一部のカンボジアであろう。しかし、色んなイミで、3日間の滞在だったが中身の濃い旅となった。
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タイ→カンボジア・シェムリアップ〜アンコールワットを拝む
2005/5/5 バンコクからバンコク・エアウェイズでカンボジア・シェムリアップへ一気に飛んだ。上空から赤茶色の土と曲がりくねった河が見えた。もうカンボジアだ。 カンボジアビザは空港で容易に手に入るが、待つのが嫌だったので私は予め大阪・梅田のカンボジア王国名誉領事館で所得しておいた。おかげで一番で外に出れた。 ホテルの人達が大勢迎えに来ていた。とりあえず一服していると、私の氏名と宿名を大きく書いた紙を持っている若者を発見した。 「チェンラー?私はSです」 彼のバイタクで、宿泊先チェンラーに向かった。
チェンラーは新しくきれいだった。ここは隣のタケオと並んで日本人に人気の宿だ。広いロビーに上がると、可愛らしいお婆さんとママさんが笑顔で迎えてくれた。ファン付シングル5$の部屋にチェックインして、早速バイタクでアンコールワットのサンセットを見に行った。
夕方、チケット売り場にはたくさんの観光客が並んでいた。3日間チケット40$を購入した。
真っ直ぐ進むとアンコールワットを囲む池が見えてきた。小さいサルがいた。 「これかあ…」 憧れのアンコールワットが見えた時は感激した。 バイクを降り、参道を歩く。 「これかあ…」(感動のあまりこればっかり) 結局、建造物に夢中になる余りサンセットを見逃した。が、そこまでサンセットに興味も無かったのでショックではなかった。 明日再びゆっくり見学するので、頂上に上ったり、おおまかに内部を見学した。
上:アンコールワット最上階から正面の眺め
左:椰子酒
戻って、宿のレストランで野菜炒めとライス、椰子の実の酒、アンコールビールを飲んだ。カンボジアは普通にUS$が流通しているので、シェムリアップ滞在ではわざわざ両替の必要が無いので便利だった。 |
アンコール遺跡二日目〜アンコールワットの日の出
 
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朝5時。定番アンコールワットの日の出を見に行った。早くも沢山の観光客がカメラを構えていた。殆どが日本人だった。空が赤くなり、朝日が昇った。個人的には、日の出より人が歩いていない参道(上タイトル画像)が見れたのが嬉しかった。
アンコール・トムへの入り口。南大門
早朝はまだ涼しく、バイクに乗るのが気持ちよい。南大門を抜ける。阿修羅像が両脇にずらっと並ぶ。車がやっと通れるくらいの幅だ。
正面に、バイヨンが見えた。見学前に屋台で麺とコーヒーの朝食。野菜と魚のフライの具、麺はインスタントラーメンだった。どこで食っても、ここらへんの屋台の麺はインスタント揚げ麺だった。味はまあまあ。駐車場にバイタクを待たせて、いよいよバイヨン見学だ。
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心を見抜く仏の微笑み…バイヨン
 
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バイヨン。そこは仏が見守る小宇宙だった。階段を登ると、涅槃像があったので線香を焚いてカンボジアの旅の無事をお祈りした。
第二回廊を抜けると、無数のブッダに囲まれた異空間があった。ここは一体どこなのか?その静かな微笑が、自分の心すら見透かしているようだ。どの像も表情が違ったが、豊かな微笑を浮かべて下界を見下ろしている、見守っているのは同じだった。私は地に足が着いていない状態で浮遊するように歩いた。
第一回廊。古代の人々の生活、さまざまな物語が見事なレリーフを形成していた。見ているだけで何を表しているかが分かるので、説明を読まなくとも理解することができた。バイヨンを全て見学するのに、2時間を要した。 |

美しいデバター(女神)の彫刻 |

参拝方法を教える老婆 |

デバターの優しい微笑み |
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浮遊体験空中参道、バプーオン
左:空中参道 右:工事中  |
王宮〜ピミアナカス
バプーオンから城壁を抜けると、王宮中央に位置するピミアナカスがあった。かなり崩れ落ちていたが、最上階に登ることができた。左:北側 右:正面
 
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象のテラス
像やガルーダのレリーフが施された長い外壁は王宮を守っているようだ。
 
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神々の美の競演、ライ王のテラス
 
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像のテラスと並んで、ライ王のテラスがある。壁面を埋め尽くす無数の神々の彫刻。一体一体表情が異なり、美しく微笑む女神と同じ場所に、阿修羅の姿も見られた。神々と一緒に居るからであろうか。阿修羅の表情は、穏やかに見えた。
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村
昼になり、強烈な日差しと雨季前の湿気でこまめに休憩をしないと倒れそうだ。首に巻いた濡れタオルもすぐに乾いてしまう。
ライ王のテラス奥に進むと村があり、そこの井戸水で顔を洗ってタオルも濡らした。 木造家屋は高床式で、ハンモックで昼寝する子供や鶏、囲炉裏で湯が湧き、小さな祠が祭られているのどかな村だった。初めて見る、カンボシアの人達の生活風景だった。 子供が私の後ろを付いて、勝手ガイドらしき事をし始めた。ありがちな事である。 私が立ち去ろうとすると子供は日本語で言った。 「ワタシのチップは?」
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個性的な外観、タ・ケウ
アンコール遺跡の中で、タ・ケウの装飾の無いシンプルな外観は独特だった。大きな石が積み上げられた階段を登り、最上には祠がある。そこに仏像が祭られていた。ここからの眺めは格別で、ここが森の中だということが良く分かった。
巨大な寺院、タ・ケウには威圧感があった。
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自然の驚異、タ・プローム
左:タ・プローム正面 右:寺院に絡みつく木の根  |
【タ・プローム】ケータイギャラリーもっとたくさんの神秘的な画像が見られます
木々が占領することで有名な寺院、タ・プローム。崩れた瓦礫の山々、回廊、塔、いたる所に木々の根が絡み付き、石を押しのけ、内部まで侵入していた。大木と寺院は一体化しているように見えた。自然の力には、人間は到底敵わない事を見せつけられた。
アンコールワット再び
アンコールワットをじっくり見学、の前に屋台で休憩するが、暑さで食欲が湧かず水ばかり飲む。観光地の屋台を通るたびに売り子が日本語で声を掛ける。「冷たい飲み物あります」「おにいさーん、ミズ」「おねえさーん、ミズ」 アンコール遺跡では、皆日本語が上手なので驚いた。決まった売り文句を丸暗記だろうが、ここまで日本語が散乱している外国は初めてだ。 日本人観光客が雇っているガイドの日本語は完璧で、他の外国語を話せるガイドも多く、彼らの流暢な話し方には感心した。 私が雇ったバイタクは、日本語の簡単な挨拶と「明日」「行く」「ご飯を食べる」「水を飲む」「暑い」「イチドル、ロクドル」くらいの言葉は知っていた。しかし英語が全く通じなかったし、日本語の単語を覚えているだけなので私の指示が伝わらないことがあった。その事で特に問題は無かった。次の目的地に行く前にガイドブックの地図を指差し「××(に)、行く」と確認、数字を紙に書いて「明日、×時」と説明したりした。
左:アンコールワット外観正面 右:アンコールワット内部正面 
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午後のアンコールワットは朝より人が少なかった。朝靄に浮かぶアンコールワットも美しかったが、青空にくっきり映えるアンコールワットも格別だ。長い長い参道を歩き、ゆっくり近づくとアンコール・ワットの巨大が実感できる。塔門を抜けると、中心部まで長い参道が更に続く。陽炎が出そうなほど強烈な日差しと敷石の照り返しで日干しになりそうだ。参道の両脇に建つ経蔵を見学しそこで休憩。池の辺に馬がいて、観光客と記念写真を撮っていた。
左:第一回廊のレリーフ 右:中央祠堂に続く廊下  |
まず第一回廊から右回りにじっくり見学。壁一面に施されたレリーフは見ごたえがあった。戦いや軍隊の場面が多い。天井の花の紋様も美しい。よく今まで残っていたな、と感心するくらい細部まで保存されていた。言葉は無かった。それは芸術の域を超えていた。2時間かけて回廊を2周した。
【アンコール・ワット第一回廊】ケータイギャラリー美しいレリーフ画像特集
【第二・第三回廊外観】ケータイギャラリーさまざまな角度から見た回廊と中央祠
右:中央塔を囲む第三回廊
十字回廊の一部には鮮やかな壁画が残っていた。階段を登り、第二回廊に入った。仏像の前には線香が焚かれ、周囲を金色の紙で装飾され、今もここは地元の人にとっては大切な信仰の場なのだ。 一人のカンボジア青年が「線香をあげてもいいんだよ」と言ったので、仏像に線香をあげて祈った。
更に進んで、第三回廊に入る。内側壁面に彫られたデバター(女神)の彫刻は気高い美しさで輝いていた。一体一体が違う姿で微笑んでいたり、気取っていたり、妖艶に舞っていたり、ポーズも様々だ。
【デバター(女神)の魅力】ケータイギャラリー |
左:第二回廊北西角
閉館時刻となり、疲れた足を引きずって宿へ戻った。
カンボジアは砂埃が酷いので、バイクに乗ると赤土の混じった涙が出た。コンタクトなので目薬は必須アイテムだ。
私の雇ったバイタクはスピードを出すのが好きだった。暑さでヘルメットなんか被れない。他のバイクや車をぐんぐん抜くのは爽快だった。
運転手の兄ちゃんは、やたら郊外の「バンテアイ・スレイ」に行きたがった。遠くへ行けばそれだけ金が多く貰えると思っているのだろう。 休憩する度に「バンテアイ・スレイ、行く。ジュウゴドル」とうるさい。 郊外に行きたいが為に、観光時間を私に指図したので何度か叱った。その度彼は「ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!」と必死で謝った。悪気は無いのだろうが、こちらの意思が通じてないのでイライラすることもあった。
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宿に帰って早速アンコールビールを一気飲みした。1本では足りない。カンボジア滞在では、一日水分を3リットル以上は摂取していた。ミネラル2リットル、ビール3、4本、ソフトドリンクなど。普段コーラなどの甘い炭酸飲料は飲まないのだが、ここではそれが異常に美味く感じられた。自分が訪れることのできるクーラーのある場所は、チェンラーの隣のコンビニだけだった。 部屋はファン付きだが風通しが悪く、毎夜4時まで寝れなかった。暑いうだる空気がぐるぐる回っているだけだった。 ロビーでビールを飲んでいると宿泊客の男性達と知り合ったので、3人で中華を食べに行った。 一人の人は、カンボジア通だった。昔に比べてシェムリアップは観光地化し、ホテルが乱立して都会になって発展したそうだ。昔の方がのどかで良かった、と彼は言った。
今夜も、熱帯夜である。明日は5時起き…
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